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Webサイトを多言語化する方法|海外SEOとの関係も解説

「訪日外国人に向けて情報発信を強化したい」「日本企業だけでなく商圏を広げていきたい」「海外市場へアプローチしたい」というお悩みはありませんか?今や海外にも目を向けて、積極的に自社の製品やサービスを発信する企業が増え、多言語での情報発信はWeb制作時のスタンダードになりつつあると言えます。

しかしWeb サイトの多言語化を検討するにあたって、どのような方法をとれば良いのか分からない、という方も多いのではないでしょうか。

本記事では Web サイトを多言語対応する3つの方法について、それぞれの特徴や海外SEOとの関係にも触れて解説していきます。

1. Webサイトの多言語化とは

Webサイトの多言語化とは

1-1. 複数の言語でWebを閲覧できるようにすること

Webサイトの多言語化とは、同一のWebサイトを複数の言語に対応させ、異なる言語圏のユーザーにも情報を正確に提供できるようにすることです。

例えば、日本語で制作したWebサイトを英語や中国語、韓国語などでも制作(翻訳)し、各言語ごとにWebサイトが閲覧(表示)できるようにすることです。

2024年時点の世界人口は約81.2億人となり、そのうち英語話者を約13.5億人と推定すると世界人口の約17%に相当します。一方で日本語話者が1.2~1.3億人程度と推定すると、10倍以上が英語話者となります。

つまり、Webサイトを英語に対応するだけで、10倍以上ものユーザーへ情報を届けるポテンシャルが生まれます。

もちろん単なる翻訳だけで効果的にアプローチするのは難しいですが、多言語対応先のユーザーの文化的背景を考慮したUI/UXの設計、検索エンジンの地域や言語に沿ったサイト制作が実現できれば、海外マーケティングの可能性は広がります。

1-2. 多言語したWebサイトはどんなシーンで必要?

主に複数国や複数言語のユーザーを対象にしたWebマーケティングの実施が必要なシーンでWebサイトの多言語化が求められます。

  • 訪日観光客への集客のため
    日本を訪れる外国人旅行者向けにサービスや商品などをブランディング
  • グローバルでの企業間取引(B2B)のため
    海外展開はまだできないが、日本から海外企業へのアプローチや取引を進める
  • 新たな海外市場に進出するため
    新しい国へサービスや商品を展開する際の信頼性向上やブランディング、SEO対策

このようなシーンで多言語化されたWebサイトは必須となります。

特に海外市場に進出する際、現地ユーザーが自分たちの母国語で情報を収集できるように自社サイトを多言語化対応を実施しておくことは、現地での信頼の獲得や売上に直結します。

実際に「76%の消費者が自国語で情報が提供されている製品を購入することを好み、40%は他の言語のウェブサイトからは決して購入しない」といった調査結果なども出ており、海外進出の際には、その国の言語に合わせローカライズしたWebサイトは必須となります。

引用: Common Sense Advisory Research / 76%が母国語で情報がある製品を購入することを好むことが判明

2. Webサイトの多言語化のメリット

2-1. 日本国内の海外ユーザーへアプローチできる

日本国内における海外ユーザーの割合は、訪日観光客や在留外国人やグローバル企業で働く人々の増加によって高まっています。

日本政府観光局(JNTO)によると、2023年の訪日外国人旅行者は約2,506万人となりました。また出入国在留管理庁によれば、2023年時点では日本国内に約322万人の外国人居住者がいるとされ、その多くが英語や母国語での情報取得を希望しています。

そこでSEO対策ツールのSEMRUSHを用いて、 日本国内の「tokyo station」の検索ボリュームを調査したところ、月間で約450,000回(2024年12月時点)検索されていることがわかりました。これは、主に訪日・在留している外国人による検索と推測しています。(日本人が英語で東京駅を検索しない想定です)。

一方、日本語で「東京駅」を検索した場合の検索ボリュームは月間で約2,740,000回(2024年12月時点)ですので、日本語ユーザーによる検索数は、英語ユーザーの6倍程度です。この数字の開きを大きいと捉えるか、少ないと捉えるかですが、英語での検索ボリュームが45万回もある点は見逃せません。

引用: 訪日外客数(2023 年 12 月および年間推計値)

引用: 出入国在留管理庁 / 令和5年6月末現在における在留外国人数について

2-2. 海外から日本へアクセスするユーザーへアプローチできる

アメリカ国内で「japan」というキーワードの検索ボリュームは、月間で約550,000回(2024年12月時点)となっています。その他の世界主要国の結果は以下となりました。

カナダ: 74,000
英国: 110,000回
ドイツ: 135,000回
フランス: 12,100回
イタリア: 12,100回

ここでは単一、かつ英語のみのキーワードでの調査ですので一括りにはできませんが、日本のWebサイトへの海外からのアクセス数は他国と比べても非常に高いのではないでしょうか。

特に日本製品を求める海外ユーザー向けに多言語対応したWebサイトを持つメリットは大いにあると言えます。

3. Webサイトを多言語化する方法3選

3-1. 物理的にページ(サイト)を分けて対応

こちらは、元言語の Web サイトとは別に多言語 Web サイト、またはWebページを開発する方式です。代表例として、CMSがWordPressを利用してサイトを構築している場合は、多言語プラグイン等を活用してサイト全体を多言語機能を追加し、その後は必要な言語毎にページ自体を制作していく形になります。

▼メリット
元言語の Web サイトと別言語のWebサイトとで、デザインや発信内容を100%調整できることが大きなメリットです。

▼デメリット
一方、Web開発から運用まで言語数分の対応が必要になるため、大きなコストや手間がかかるのがデメリットになります。加えて、対応言語数を増やすたびにコストや手間は増えてしまうので、多数の言語に対応する場合は専任のWeb担当者が運用をする必要性も出てきます。

▼SEO観点
海外SEOの観点で言えば、この方法が一番良いです。
多言語化する際のURL構造も重要で、サブドメインで対応するか、サブディレクトリで対応するか、も事前に検討しておく必要があります。

【多言語サイト】サブドメインとサブディレクトリの違い

サブドメイン方式は、言語ごとに独立したサブドメインを設定する方法です。
例: en.example.com

各サブドメインが独立しているため、地域や言語に特化あせたSEO戦略を展開できます。また各サブドメインを異なるサーバーに配置することもできるので、現地国のユーザーへサイト表示速度を最適化できます。

しかし、各言語毎のサイトに加え、サブドメインの管理も必要となることから、運用コストが増加する可能性があります。そのため、展開国(地域)ごとにローカライズを強め、日本とは異なる製品ラインナップやサービスを提供する企業サイトなどでデザインを大幅に変えたいような場合に用いるのが良いでしょう。

サブディレクトリ方式は、既存のドメイン内に言語別のディレクトリを作成する方法です。
例: example.com/en/

メインドメインの評価を各言語ページが共有でき、SEO効果が高まります。またサイト全体の管理が一元化され、更新やメンテナンスが効率的です。グローバル展開を目指す企業のコーポレートサイトや、複数言語で情報提供を行うメディアサイトなどで利用されるケースが多いです。

弊社では、海外向けの多言語サイトを初期費用無料、月額費用のみでWeb制作から運用代行までをサポートしております。海外SEOを考慮したサイト制作やコンサルティングにも対応しておりますので、ご興味があればぜひお気軽にご相談ください。


URL: 月額定額制Web制作・運用代行 | デジマネ

3-2. 自動+手動翻訳ツールで対応

こちらは、元言語の Web サイトをもとにしてコンテンツの自動翻訳だけでなく、手動(人力)でも翻訳などを行うことができます。主に自動+手動翻訳ツールを提供するベンダーのWebアプリを利用して、自社のWeb サイトへの実装・編集作業を管理画面上で操作するものになります。

▼メリット
一般的なツールでは、自社のWebサイトにコードを追加するのみで実装ができ、手軽に利用できるものが多いです。自動翻訳をベースにして手動でも翻訳をするため、サイトを新たに制作し直す必要なく、簡単に多言語化ができます。自動翻訳の誤訳やニュアンスを調整したい部分などは手動で調整できることが最大のメリットです。

▼デメリット
基本的にツールの利用料金は有料であり、翻訳したい言語数やページ数、容量数、PV数などで重量課金が発生する料金パターンも多いです。またこの方式においても、Webサイトの運用は言語数分の対応が必要になるため、実際には手間がかかります。

そして最大のデメリットは、ツールを解約すると「せっかく翻訳や調整した箇所がなくなってしまう」ケースがあることです。もちろんサービス提供者側によって、対応方法が異なると思いますので、事前に解約後に確認しておきましょう。

▼SEO観点
SEOを目的とする場合であれば、あまりおすすめできません。
手動で翻訳が可能と言えど、自動翻訳の仕組みを使っている性質上、SEO効果が低くなる傾向にあります。サービス提供者側に海外SEOの観点でどこまで対応が可能なのか、そのツールを活用している企業のSEO対策の成果などを確認することが必要です。

技術的は話になってしまいますが、翻訳の方式として、Cookie やブラウザの設定を使用してページ上のコンテンツの言語を調整(JavaScript等でユーザーのブラウザ上で翻訳)するような方法であれば注意が必要です。

Googleも公式にこの方式はおすすめしないと明言しており、海外SEOの観点で多言語サイトにおいては以下の方法が推奨されています。

・複数の言語のバージョンがあることを Google に知らせること
・ページの言語が明確にわかるようにすること(hreflangタグ)
・言語ごとの URL を使用すること

引用: Google for Developers / 多地域、多言語のサイトの管理

弊社でも、過去に自動+手動翻訳ツールを活用して運用していたサイトがあったのですが、サイトの一部のページがクロールされないこと、対象国で検索ヒット(キーワード獲得)が難しかったこともあり、SEO対策の必要がないマニュアルサイトやQAサイトなどがこの方式は合っていると考えています。

3-3. 自動翻訳ツールで対応

▼メリット
自動翻訳ツールを使用することで、翻訳作業が瞬時に完了します。特に、急いで多言語化したい場合や費用を掛けたくない場合に有効です。現在、低コストで多言語化が可能なツールは豊富にあり、一部のツールでは無料プランも提供されています。

▼デメリット
自動翻訳では、日本語の絶妙な文脈に応じたニュアンスが失われたり、和製英語や専門用語が誤訳されるリスクがあります。その言語のネイティブユーザーにとっては、サイトへの信頼性の低下や混乱を招く要因になります。また外部APIを利用するツールの場合、ページロード時間が延び、ユーザー体験に悪影響を及ぼす可能性もあります。

観光庁が実施した、訪日外国人向けの多言語対応ホームページの利用結果に関する調査によれば、自動翻訳の問題点として以下が挙げられています。

・日語を直訳し、対象言語では使用されない、違和感のある表現になる場合があった
・主に自動翻訳の際に、意味の通らない表現になる場合があった
・原文の日本語の文意が適切に翻訳されておらず、文章が理解し難くなっている場合があった
・日本語向けサイトの文章を取捨選択せず訳しているため、日本語のみ対応しているサイトへのリンクまで多言語で案内されており、外国人観光客にとって不要な情報となっていた
・英語では、和製英語の使用等で意味の通らない文章になっている場合があった。また主語や目的語等の欠如により不十分な文章になっている場合があった
・中国語では、簡体字のページに繁体字表記が含まれる場合(またはその逆の場合)等が頻繁に確認された
・韓国語では、文体が敬語ではなく、口語体になっている場合があった。また、韓国語では使用しない外来語の文章等を直訳しており、違和感のある文章が確認された

引用: 多言語対応改善・強化のための観光庁の取組

やはり現状の自動翻訳の精度では、複数言語に対応されることは難しいのかもしれません。

▼SEO観点
おすすめできません。
検索エンジンは、質の低いコンテンツを評価しないため、不自然な翻訳や誤訳が多いと、該当のページだけでなく、サイト全体の検索ランキングに悪影響を及ぼす可能性があります。また一部の自動翻訳ツールは、動的にコンテンツを生成するため、検索エンジンが翻訳後のページをインデックスしにくい場合があります。この場合、手動でインデックス設定を行う必要があり、結果工数がかかってしまうことも多いです。

・初期予算を抑えたい場合
・短期間での多言語対応が求められる場合
・補助的な翻訳手段として検討している場合

というケースであれば、自動翻訳ツールは非常に有用です。しかし使い方によってはSEO面やサイトのUXに影響を与えるため、導入の際には注意が必要です、

4. 海外SEOのためのベストなドメインの決め方

海外SEOにしっかり取り組みたい、という前提であれば以下のような整理になります。

・対象国が決まっている → 国別のドメイン
・複数国でテスト的に検証したい→ サブドメイン
・対象国はないが検証したい→ サブディレクトリ

国別ドメインとは、国や地域ごとに割り当てられたトップレベルドメイン(TLD)で、ccTLD(Country Code Top Level Domain)とも呼ばれます。ccTLDは、国際標準化機構(ISO)のISO 3166-1で規定されている2文字の国コードに基づいており、日本は「.jp」、韓国は「.kr」となります。

Googleの検索エンジン(クローラー)は、Webサイトのドメインやサーバーの所在地、meta情報やページ内の情報、被リンクなどから、そのサイトの対象地域を認識し、評価をしているので、公開している言語ごとのバージョンをhreflangで明示的にGoogleに示すことも重要です。

URL構造のオプション 長所 短所
国別ドメイン
example.us
  • 地域ターゲティングが明確
  • サーバーの場所に依存しない
  • サイトの分割が簡単
    • 高価(利用が制限される場合もある)
    • より多くのインフラが必要
    • ccTLD要件が厳しい(一部)
  • 1つの国しかターゲットに設定できない
gTLDを使用するサブドメイン
us.example.com
  • 手軽に導入可能
  • 複数の場所のサーバーを使用できる
  • サイトの分割が簡単
  • ユーザーはURLのみから地域ターゲティングを認識できない場合がある
    (例:「us」が言語なのか国なのか不明)
gTLDを使用するサブディレクトリ
example.com/us/
  • 手軽に導入可能
  • 管理しやすい(ホストが同じ)
  • ユーザーはURLのみから地域ターゲティングを認識できない場合がある
  • サーバーの場所は1か所のみ
  • サイトの分割が難しい
URLパラメータ
site.com?loc=us
非推奨
  • URLベースの分割が難しい
  • ユーザーはURLのみから地域ターゲティングを認識できない場合がある

引用: Google for Developers / 多地域、多言語のサイトの管理

5. Webサイトの多言語化の際に特に注意すること

多言語化対応では、単に翻訳を行うだけでなく、デザインやSEO、ユーザー体験(UX)を考慮した実装が重要です。以下に、特に注意すべきポイントをまとめてみました。

5-1. 文字数の変化によるデザイン崩れ

言語ごとに文字数が異なるため、Webページのレイアウトが崩れる可能性があります。英語の「Contact Us」(10文字)が日本語では「お問い合わせ」(5文字)になりますが、逆に、ドイツ語の「Kontaktieren Sie uns」は18文字となり、大幅に増加します。

そして、説明文章のような数百文字程度の文章となると、この文字数の差はかなり広がります。Webを制作しているとわかるのですが、この絶妙な文字数の変化でもデザイン性や視認性が崩れてしまうため、注意が必要になります。

5-2. metaやaltタグのローカライズの抜け漏れ

SEO対策の一環として重要なmetaタグやalt属性の翻訳が不十分だと、検索エンジンへの評価やユーザー体験に悪影響を与える可能性があります。

よくある設定ミスの例としては以下です。

・hタグが設定されていない(キーワードが入っていない)
・各言語に適したmeta descriptionが設定されていない
・alt属性が翻訳されていない

これらによって、そのページの検索ランキングが下がる(上がらない)可能性が高まりますので、適切に対応する必要があります。

5-3. 切り替え機能(ボタン)の配置場所

言語切り替えボタンが見つかりにくいと、ユーザーが目的の言語にアクセスする前にサイトを離脱する可能性があります。

配置のポイントは以下です。

・言語切り替えボタンは、サイトの右上に配置するのが一般的。
・ドロップダウンメニューを採用し、利用可能な全ての言語を簡単に選択できるようにする。
・国旗アイコンを使用することで視認性が向上する。

国旗アイコンは言語を表すものではなく、国を示す場合があるため、誤解を招かないよう「English(EN)」「日本語(JA)」などの表記を加える。

5-4. アクセス端末の言語情報を元にしたリダイレクト設定

ユーザーの端末やブラウザが持つ言語情報(Accept-Languageヘッダー)やIP情報を元にした国判別によって、自動的に適切な言語ページにリダイレクトする設定は便利ですが、慎重な設計が必要です。弊社としては以下の点から基本的に利用を推奨していません。

・自動リダイレクトによって、ユーザーが手動で言語を変更したい場合の操作性が低下する
・SEO上の問題が発生する(Googleが異なる言語のページを区別しにくくなる)

自動リダイレクトは、ユーザーだけでなく、クローラーもリダイレクトされてしまうため、特定の言語ページがクロールされない場合が多々あります。その結果、コンテンツが認識されず、SEO対策に繋がらないためです。

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