コラム詳細

【2025年版】海外進出のための情報収集術|信頼できる情報源はどこ?

執筆者

BizX株式会社
マーケティングチーム

BizX株式会社は、日本・ベトナム・タイを中心に、BtoB企業の海外展開を支援するデジタルマーケティング会社です。本コラムは、現地のビジネス事情に精通したマーケティングチームが、東南アジア市場でのWEB活用や集客に役立つ実践的な情報を発信しています。実際の現場で得た経験と知見をもとに、海外進出を目指す企業の皆さまにとって有益な情報をお届けします。

海外マーケティング関連の資料を無料でご利用いただけます /

海外ブランディング

海外コンテンツ

海外SEO対策

海外進出は、多くの中小企業にとって魅力的な成長戦略の一つです。しかし、未知の市場への挑戦には、やはり不安がつきものですよね。成功への航路を描くためには、信頼できる海図、つまり正確な情報が欠かせません。

情報不足や誤った情報に基づいて進出計画を進めてしまうと、思いがけない座礁、つまり失敗につながるリスクが高まります。では、どこで、どのようにして、信頼できる情報を集めれば良いのでしょうか?

本記事では、そんな疑問をお持ちの海外進出を検討中の経営者や担当者の皆さまに向けた「情報源ディレクトリー」となるよう各所の情報をまとめました。信頼性の高い公的機関や国際機関の情報源を中心に、民間専門サービスの活用も含め、それぞれの特徴や活用方法を網羅的にご紹介します。

海外進出を考え始めたら、まず頼りになるのが日本の公的機関です。多くの場合、無料または低コストで、信頼性の高い情報や専門家のアドバイスを得られます。いわば、海外進出の「ベースキャンプ」のような存在です。

JETRO(日本貿易振興機構)

海外ビジネス支援のまさに「王道」とも言えるのがJETROです。国内外に広がる拠点網を駆使し、海外進出のあらゆる段階をサポートしています。

ウェブサイトには、国・地域別の基本情報、経済レポート、法規制情報、統計データ、最新ビジネスニュース(ビジネス短信)などが満載。その多くが無料で利用可能です。「国・地域別情報」のページは、特定の国について調べ始める際の入り口として最適です。

まずは無料の「貿易投資相談」で、自社の状況を伝え、専門家のアドバイスを受けてみてはいかがでしょうか。「新輸出大国コンソーシアム」の枠組みで、専門家(コンシェルジュ)が丁寧に相談に乗ってくれます。

特定の情報が必要な場合は、有料ですが「海外ミニ調査サービス」を利用すれば、企業リストアップや特定の法令・統計検索などをJETROの海外事務所が代行してくれます。また、海外の取引先を探せるオンラインマッチング「e-Venue」も無料で利用でき、海外企業との接点作りに役立ちます。海外進出を目指す企業にとって、最も重要な情報ハブの一つと言えるでしょう。

中小企業基盤整備機構(中小機構)

  • サイト名: 中小企業基盤整備機構 (Organization for Small & Medium Enterprises and Regional Innovation, JAPAN / SME Support, JAPAN)
  • URL: https://www.smrj.go.jp/

中小企業の成長支援に特化した、もう一つの心強い味方が中小機構です。海外展開に関しても、より実践的で「伴走型」の支援を提供しています。注目すべきは無料の「海外展開ハンズオン支援」。海外ビジネスに関する様々な課題に対し、経験豊富な専門家が無料で個別相談に応じてくれます。

初期の計画策定から現地法人の運営管理まで、幅広いテーマに対応し、必要に応じて専門家が現地調査に同行することも可能です。

また、国内外の企業と中小企業を結ぶ無料のオンラインマッチングサイト「J-GoodTech(ジェグテック)」は、技術連携や販路開拓のパートナー探しに有効です。自社の技術や製品を登録し、国内外の企業にアピールできます。

海外リスクに関する情報提供なども行っており、JETROと連携した支援も多く、具体的な課題解決やビジネスパートナーとの出会いを求める企業におすすめです。

外務省(MOFA)

海外での活動には、安全確保が大前提です。外務省の「海外安全ホームページ」は、渡航前に必ずチェックすべき情報源。国・地域ごとの危険情報(テロ、犯罪、災害、感染症など)や渡航情報がリアルタイムで更新されています。

安全対策マニュアル「海外安全虎の巻」などもダウンロードできます。渡航情報を登録すれば、現地で緊急情報を受け取れる無料サービス「たびレジ」も活用しましょう。

ビジネス面では、世界各地の日本の大使館・総領事館(在外公館)にある「日本企業支援窓口」が重要です。

現地の法制度や規制に関する情報提供はもちろん、許認可手続きの遅延といった問題について現地政府への働きかけを依頼したり、信頼できる現地の弁護士や会計士を紹介してもらったりすることも可能です(具体的な支援内容は公館や事案によります)。

安全とビジネスの両面で、現地の「駆け込み寺」となる存在です。

国際機関|海外進出のためのマクロ経済・統計データの宝庫

進出候補国の経済状況や市場のポテンシャルを客観的に把握するには、国際機関が提供する統計データが欠かせません。多くは無料で利用でき、グローバルな視点を与えてくれます。比較分析に非常に有用です。

世界銀行(World Bank)

各国のGDP、人口、一人当たり所得、インフレ率、貿易額といった基本的な開発指標から、ビジネス環境ランキング(Doing Business ※現在は休止中ですが過去データは参考になります)、インフラ整備状況など、経済・社会に関する多岐にわたるデータを長期間無料で提供しています。

国別だけでなく、地域別、テーマ別での検索や比較も容易。マクロ環境分析や国際比較の出発点として非常に有用です。

国際通貨基金(IMF)

国際金融統計(IFS)、貿易統計(DOTS)、財政データ、そして注目度の高い世界経済見通し(WEO)などを提供しています。特に各国の経済成長率予測(WEO)は、将来の市場動向を読む上で重要な参考情報となります。為替レートや物価変動のデータも豊富です。こちらも無料でアクセス可能です。

国際連合(UN)

国連関連機関が収集した人口、社会、経済、環境など幅広い分野の統計データを集約したポータルが「UNdata」です。また、「UN Comtrade」は、HSコード(国際的な貿易品目分類コード)に基づき、品目別・国別の詳細な貿易統計(輸出入額・量)を調べられる強力なデータベース。自社製品の輸出入動向を具体的に把握したい場合に非常に役立ちます。無料で利用できます。

経済協力開発機構(OECD)

主にOECD加盟国(先進国中心ですが、一部非加盟国データも含む)の経済・社会に関する質の高い統計データを提供しています。各国間の比較がしやすいように定義や基準が調整されており、政策比較や労働市場、教育、環境などのベンチマーク分析に有効です。主要データは無料で利用できます。

その他地域機関(例: ASEANstats, Eurostat)

ASEAN(東南アジア諸国連合)やEU(欧州連合)など、特定の地域に特化した詳細な統計データを提供する機関もあります。対象地域内の経済統合や市場動向を深く掘り下げたい場合に参照すると良いでしょう。

在外公館と在日外国公館|海外の現地情報へのアクセス

現地のリアルな情報やネットワークを得るためには、大使館などの公館を活用するのも有効です。日本と相手国、双方の視点から情報を集めることができます。

日本の在外公館(大使館・総領事館)

現地の日本大使館・総領事館は、海外で活動する日本企業の強力なサポーターです。

「日本企業支援窓口」では、現地の法律、規制、商習慣に関する最新情報の提供、ビジネス上のトラブル相談、信頼できる弁護士や会計士などの専門家リストの提供(紹介ではない点に注意)、現地政府や有力企業との関係構築支援など、現場に密着したサポートを提供しています。

困った時の相談先としてだけでなく、現地ネットワーク構築の足がかりとしても活用を検討しましょう。

在日外国公館(大使館・領事館)

日本国内にある外国の大使館や領事館も、情報収集の窓口となります。

多くの場合、大使館内に商務部や投資促進部門が設置されており、日本企業向けに自国の投資環境、優遇措置、関連法規、ビジネスチャンスに関する情報を提供しています。投資セミナーを開催したり、現地企業を紹介したりすることもあります。

進出先候補国の政府側からの視点や、投資インセンティブに関する情報を得るのに役立ちます。必要に応じて各国のサイトを検索ください。

公的サービスや民間専門家|海外進出への専門的な調査・支援の活用

公的機関の情報や相談で基本的な方向性が見えてきても、より専門的で、自社の状況に深く踏み込んだ調査や具体的な実行支援が必要になる場面もあります。そんな時は、民間の専門サービスの活用も視野に入ってきます。

市場調査会社の活用

公的機関のレポートは網羅的ですが、特定のニッチ市場や最新の消費者トレンド、競合の詳細な動向など、より深掘りした情報が必要な場合、民間の市場調査会社が役立ちます。

  • 役割: 公的情報を補完する、詳細で専門的な市場分析レポートを提供します。特定の業界やテーマに強みを持つ会社が多いです。
  • 種類: 既に発行されているレポート(シンジケートレポート)を購入する方法と、自社の課題に合わせて調査を設計・実施してもらうカスタム調査があります。
  • 注意点: 専門的な情報には相応の費用がかかります。また、レポートの質は会社や調査手法によって様々です。利用する際は、調査の目的、対象、手法、そして費用対効果を慎重に検討し、信頼できる情報源かを見極める必要があります。

海外進出コンサルタントの活用

戦略立案から現地法人設立、パートナー探し、販路開拓、法務・税務、労務管理、進出後の運営サポートまで、海外進出のプロセス全体にわたって専門的な知見と実行支援を提供してくれるのが海外進出コンサルタントです。

  • 役割: 自社に不足している専門知識やノウハウ、現地ネットワークを補い、複雑なプロセスをナビゲートしてくれます。特定の地域(例:東南アジア専門)や業界、機能(例:マーケティング専門)に特化したコンサルタントもいます。
  • 注意点: 専門性が高い分、費用も高額になる傾向があります。また、「コンサルタントに任せきり」にするのではなく、自社も主体的に関与し、知識やノウハウを吸収していく姿勢が重要です。コンサルタントを選定する際は、その専門分野が自社のニーズと合っているか、過去の実績(特に同規模の中小企業支援実績)、料金体系、そして担当者との相性などを多角的に評価しましょう。複数の候補を比較検討することが望ましいです。

活用のポイント

民間サービスを利用する際は、まずJETROや中小機構などの公的機関に相談し、どのような支援が必要か、どのような選択肢があるかアドバイスを求めることから始めるのが良いでしょう。

公的機関の支援でカバーできる部分も多くありますし、信頼できる民間専門家を紹介してもらえるケースもあります。公的支援を土台とし、必要に応じて民間サービスを賢く組み合わせることが、効果的かつ効率的な進め方と言えます。

海外展示会・見本市|海外顧客のリアルな情報収集とネットワーキング

オンラインでの情報収集と並行して、業界の最新動向や競合の動きを肌で感じられるのが、海外で開催される展示会や見本市です。

JETRO J-messe

世界中で開催される様々な業種の展示会・見本市情報を網羅した、JETROが提供する無料のデータベースです。業種、開催地、時期などで検索でき、出展や視察を検討する際に非常に役立ちます。

展示会は、製品や技術を見るだけでなく、潜在的な顧客やパートナー候補と直接出会い、市場のニーズや課題に関する「生の声」を聞ける貴重な機会です。

J-messeで関連展示会を探し、戦略的に参加を検討してみましょう。JETROがジャパン・パビリオンとして出展支援を行っている場合もあります。

海外進出のための情報収集の進め方と注意点

海外進出のための情報収集の進め方と注意点

ここまで、海外進出のための信頼できる情報源を見てきましたが、情報を効果的に集めるためには、いくつか心がけたい点があります。

目的を明確にする:

まず「何を知りたいのか」「その情報はどんな意思決定に使うのか」をはっきりさせましょう。目的が定まれば、探すべき情報も絞られ、効率がぐっと上がります。

段階的に進める:

いきなり高額な調査を依頼するのではなく、まずは無料でアクセスできる公的機関や国際機関のウェブサイトで基本的な情報を収集(デスクリサーチ)し、全体像を掴みましょう。

その上で、必要に応じてより詳細な情報を得るためのステップ(相談、現地視察、追加調査など)に進むのが効率的です。

複数の情報源を比較する:

一つの情報だけを鵜呑みにせず、異なる立場や視点からの情報を比較検討(三角測量)しましょう。特に統計データなどは、定義や調査方法が情報源によって異なる場合があるので注意が必要です。情報の信頼性を見極める目を養いましょう。

コスト意識を持つ:

無料で得られる情報は最大限活用しつつ、必要な場面では有料の情報やサービスも検討しましょう。費用対効果を考え、情報収集に適切な予算を確保することも重要です。

「生の情報」も意識する:

データやレポートは重要ですが、可能であれば展示会に参加したり、現地を訪問したりして、自分の目で見て、耳で聞く「生の情報」に触れることも大切です。現地の空気感やニュアンスは、数字だけでは分からない重要な要素です。

まとめ|情報を活かし、まずは第一歩を。

海外進出という大きな挑戦を成功に導くためには、信頼できる情報に基づいた慎重な意思決定が不可欠です。

今回ご紹介したJETRO、中小機構、外務省といった日本の公的機関、世界銀行やIMFなどの国際機関、そして在外公館や在日外国公館、JETRO J-messeといった情報源は、皆さまの強力な味方となってくれるはずです。

さらに、必要に応じて市場調査会社や海外進出コンサルタントといった民間の専門知識を活用することも有効な手段です。ただし、その際は公的機関の支援を基盤とし、目的や費用対効果を十分に検討することが重要です。

何から始めれば良いか迷ったら、まずは身近なJETROや中小機構の無料相談を利用してみてはいかがでしょうか。専門家が、皆さまの状況に合わせた情報収集の進め方や、活用すべき支援策について、きっと的確なアドバイスをくれるはずです。

この記事が、皆さまの海外進出に向けた情報収集活動の一助となれば幸いです。

海外マーケティングにお困りはありませんか?

「海外向けにホームページを制作してPRしていきたい」

「日本国内の外国人向けに多言語でWeb集客がしたい」

「海外向けテストマーケティングはコストを抑えたい」

このような場合は、BizX株式会社までお問合せください!!

初期費用なし、月額費用のみでホームページ制作から公開後の運用代行が可能です。
全国どこでも対応いたしますので、まずはお気軽にご連絡ください!