本記事では、IMD「世界競争力年鑑2024」からみる東南アジア主要国の競争力をランキング形式でまとめました。
世界競争力とは、各国の経営環境や成長力、世界市場でのシェアなどを評価したランキングで、スイスのビジネススクールである国際経営開発研究所(IMD)が毎年発表しているレポートになります。
この世界競争力ランキングの順位は、その国への市場の期待と関係が深いので、東南アジアでのビジネス候補国選定や海外進出の参考情報として活用ください。
◆目次
Toggle世界競争力ランキングとは
本ランキングは、67カ国・地域を対象に各国・地域の競争力について、「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネス効率」「インフラ」の4カテゴリー(合計20項目)の336の指標でスコアリングされた結果となります。
このランキングによって、各国の経済的な強さや市場の成長性、ビジネス環境の整備状況、行政の機能性、インフラの充実度などを総合的に測ることができ、各国の経済政策の評価や企業の投資判断にも影響を与える重要な指標となっています。
全体のTOP5について
2024年の世界競争力ランキングでは、シンガポールが1位、スイスが2位、デンマークが3位、アイルランドが4位、香港が5位となりました。日本は38位と、過去最低の順位でした。なお今回のランキングでは、シンガポールは前年調査で4位でしたが4年ぶりに1位に戻っています。
東南アジアでの世界競争力ランキング
東南アジアにおいては、シンガポール、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピンの5カ国がランクインしています。各国の詳細データのリンクもありますので、ぜひチェックしてみてください。
1位: シンガポール(全体順位: 1位)
経済パフォーマンス: 3位
政府の効率性: 2位
ビジネス効率: 2位
インフラ: 4位
https://www.imd.org/entity-profile/singapore-wcr/
2位: タイ(全体順位:25位)
経済パフォーマンス: 5位
政府の効率性: 24位
ビジネス効率: 20位
インフラ: 43位
https://www.imd.org/entity-profile/thailand-wcr/
3位: インドネシア(全体順位:27位)
経済パフォーマンス: 24位
政府の効率性: 23位
ビジネス効率: 14位
インフラ: 52位
https://www.imd.org/entity-profile/indonesia-wcr/
4位: マレーシア(全体順位:34位)
経済パフォーマンス: 8位
政府の効率性: 33位
ビジネス効率: 40位
インフラ: 35位
https://www.imd.org/entity-profile/malaysia-wcr/
5位: フィリピン(全体順位:52位)
経済パフォーマンス: 40位
政府の効率性: 49位
ビジネス効率: 43位
インフラ: 61位
https://www.imd.org/entity-profile/philippines-wcr/
まとめ
このようなランキングにおいては、順位そのものよりも数字の推移が重要だと考えています。また様々なデータを俯瞰し、多角的に読み解くことが不可欠です。
例えば、今回の日本の順位は38位ですが、バブル期(1990年初頭)は1位、バブル崩壊後(2000年代)は22位、2010年代は26位、2020年代(平均)では34位と、長期的に見ても下落が続いています。しかし、IMF(国際通貨基金)が発表した2024年の世界各国のGDPランキングでは、日本は4位に位置しています。順位は年々落ちていますが…。
さらに、GDPランキングのトップ10に入る国々の多くは、世界競争力ランキングのトップ10には含まれていません。このデータは特定の指標で測ったランキングではありますが、このランキングが示す「国の競争力」は、その国への期待値と深い関係があると言えます。
海外進出を考える上で、自社の進出基準や理由を決める際には、実際に現地に足を運び、数字だけでなく、その国の熱量や自社との相性を肌で感じることが重要だと改めて実感しました。