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【2024年版】ベトナム市場への進出ガイド|基礎知識や魅力を解説

ベトナムは、チャイナプラスワンとして中国に代わる新たな海外拠点として注目されており、また経済成長率の伸びや人口構成比などからも東南アジアの中でも日系企業の進出候補国として必ず挙げられる人気の国です。

人気なのは聞いたことがあるが、「ベトナム進出のメリットは何?」「ベトナム進出で失敗しない秘訣は?」などの疑問を持つ方へ向けて、ベトナムでビジネス展開する魅力や成功へのポイントを解説いたします。日系企業のベトナム進出における基礎知識も紹介しますので、海外進出国選定のご参考にください。

ベトナム市場への注目度が高まる理由

ベトナムは、中国に代わる新たな海外拠点として注目されています。その理由は、以下のような点にあります。

  • 経済成長率の高さ: 安定した成長を続ける経済。
  • 若く豊富な労働人口: 働き手となる若年層が多く、教育水準も向上。
  • 地理的な優位性: 東南アジアの中心に位置し、周辺諸国へのアクセスが良好。

ベトナムの基本情報

以下は、ベトナムについて知っておきたい基本情報です。

面積 32万9,241平方キロメートル
人口 約1億30万人 *2023年越統計総局
首都 ハノイ
民族 キン族(越人)約86%、他に53の少数民族
言語 ベトナム語
宗教 仏教、カトリック、カオダイ教他
政体 社会主義共和国
主要産業 農林水産業(GDPに占める割合11.96%)
鉱工業・建築業(同37.12%)
サービス業(同42.54%)
GDP 約4,300億米ドル(1京222兆ドン)*2023年越統計総局
一人当たりGDP 4,285米ドル(1億190万ドン)*2023年越統計総局
経済成長率 5.05% *2023年越統計総局
物価上昇率 3.25% *2023年越統計総局
失業率 2.28% *2023年越統計総局

参照:外務省「ベトナム社会主義共和国基礎データ

ベトナムの正式国名は「ベトナム社会主義共和国」となります。首都は北部の「ハノイ市」ですが、中部には「ダナン市」、南部には「ホーチミン市」があり、南北に長い国土が特徴的です。

地域ごとの特徴について

  • ハノイ市: 政治・行政の中心。工業や製造業も集積。
  • ホーチミン市: 商業の中心。サービス業やIT企業が多い。
  • ダナン市: リゾート地として人気。観光産業が発展中。

ハノイ市が首都でありながらも南部のホーチミン市は商業都市として栄えており、ダナン市は東南アジア有数のリゾート地として、国内外からの旅行地として人気があります。個人的な体感としては、製造業などはハノイ市、サービス業やIT業などはホーチミン市に集まっていますが、直近では業界問わずホーチミン市への進出企業も増えているように感じます。またホーチミンを第一進出拠点として、その後にハノイへ拠点展開をしていく日系企業のケースもあります。

主要産業としては、農林水産業や鉱工業・建築業がGDPの半分を占めていますが、サービス業などの割合も伸びており、近年ではベトナムの内需も増加していると感じます。

ベトナムビジネスでよく使う用語について

「レッドインボイス」「ERC」「TRC」「FCT」などベトナムのビジネスシーンでよく利用される用語を解説した弊社パートナーのサイトを紹介いたします。これら以外にも多くの用語の確認ができます。

参照:Cast Global Law Vietnam「ベトナムビジネス用語

ベトナム市場の魅力

冒頭でも述べたように、ベトナムは東南アジアの中でも人口ボーナス期による経済成長が見込める魅力的な市場です。最近では人口が1億人を突破し、これからの発展が期待できる国と言えます。日系企業におけるベトナム市場の魅力を以下の観点でまとめております。

・人口ボーナスと経済成長率
・地理的な優位性
・人材の特徴
・外資企業の進出しやすさ

人口ボーナスと経済成長率

  • 人口が1億人を突破
  • 中間層の増加や所得水準の向上

ベトナムは過去数十年にわたり、安定した経済成長を遂げてきました。特に製造業やサービス業の発展が顕著であり、GDP成長率はアジア地域でもトップクラスです。この成長は、日系企業にとって新たな市場開拓やビジネス拡大のチャンスと言えます。

さらにベトナムの経済成長に伴う労働者の賃金上昇などによって、中間層の増加や所得水準の向上が進んでいます。これにより今後の消費市場が拡大が期待でき、内需として高単価の商品やサービスへの需要が高まっていくと思われます。

地理的な優位性

  • 日本から約6時間でアクセス可能
  • ASEAN諸国へのハブとして最適
  • 近年、企業の地域拠点をシンガポールや香港からベトナムに移す動きも活発

日本からベトナムへの平均飛行時間は6時間前後で比較短時間でアクセスできます。さらにベトナムは東南アジアの中心に位置しているため、中国やインド、東南アジア諸国連合(ASEAN)の他の国々へのアクセスが良好です。例えば、ホーチミン市からタイのバンコクへは1時間程度でアクセスが可能です。

これまでアジアのヘッドクオーターとして、香港やシンガポールを中心に拠点展開する企業も多かったのですが、政治面やインフレ面などからベトナムやタイへ移管する企業も増えています。もちろん地理的な優位性だけでなく、駐在員等の物価面を考慮した側面もありますが、日系企業がアジア地域全体への事業展開を効率的に行うためには非常に良い立地であると言えます。

人材の特徴

  • 平均年齢31歳と若年層が多い
  • 日本語や英語に堪能な人材が他国よりも多く、ITリテラシーも高い

ベトナムの人口は若く、平均年齢が31歳と働き手である若年層が多い特徴があります。また年々教育水準も向上し、日系企業のマネジメントポジションでも質の高い人材を確保しやすくなっています。

また他の東南アジアの国に比べ、人材市場に「日本語」「英語」話者が多くいることも特徴です。街中にいても日常英会話であれば話せる方が非常に多いと感じます。弊社もベトナムに展開をしていて、多くのスタッフを採用してきましたが、語学に関わらず自己成長意欲の高い人たちが多いと感じます。さらにITリテラシーも高い傾向があり、東南アジアの中ではトップクラスです。

外資企業の進出しやすさ

  • 外資誘致政策が進んでおり、規制緩和や優遇措置が充実
  • 日本製品やブランドに対する信頼が高い

ベトナム政府は外資誘致に積極的で、投資環境の整備を進めています。特定のライセンスに対する優遇措置や規制緩和が行われており、ここ数年では外資企業の設立手続きや事業展開がこれまでに比べるとスムーズに進められるようになっています。

またベトナムには、日本を友好的に見てくれる方が非常に多いと感じます。ベトナム国内で、日本製品やブランドに対する信頼性が高いと感じます。なかでも多くのベトナム人の足である「オートバイ」において、ホンダやヤマハは絶大な人気があります。

ベトナム進出における注意点

どの国にも良い側面もあれば、悪い側面もあります。日系企業からみたベトナム進出における注意点を以下の観点でまとめております。

・商習慣の違い
・交通インフラの課題
・人材の確保難易度
・外資規制

商習慣の違い

  • ビジネス文化として「個人の信頼」が非常に重視されます。
  • 会議の進行や商談のテンポが日本と異なり、柔軟な対応が求められます。

例えば、ベトナムでは、ビジネスにおける交渉の場として、会食に加えてカフェでの軽い会話が、関係を深める場としても重要視されます。いきなり契約条件や数字に踏み込むよりも、自己紹介や互いの背景について話す時間を大切にします。形式的な関係ではなく、相手が自分を信頼できると感じるまで、じっくりと付き合う姿勢が必要です。

また交渉時の「表面上の合意」には、注意が必要です。ベトナムでは、交渉の場で相手が表面的に「同意」しても、それが必ずしも実行されるとは限りません。例えば、合意済みの納期や契約条件が後から変更されることも非常に多くのケースで見られます。

交通インフラの課題

  • 都市部の渋滞が深刻で、物流コストや時間のロスが発生しやすい。
  • 都市鉄道が開発中だが、まだ完全には整備されていない。

ベトナムに始めて来られた方は特に驚かれるのですが、とにかく市内中心部において通勤ラッシュの時間帯で渋滞がひどいです。また通勤ラッシュの時間帯に限らず、イベントや事故などが起きるとその周辺が一気に交通麻痺となり、渋滞が発生します。ベトナムの主な交通手段がオートバイであり、その独自の交通マナーなども外国人からすると驚かれるポイントのため、駐在員の交通事故のリスクなどもつきものです。

今後の都市鉄道の発展によってインフラが一部改善すると思われますが、現在はオートバイから車を所有する層が増えているが、街中には車用の駐車場が少なく、路上駐車による渋滞もよく見られます。

人材の確保難易度

  • 若い労働人口が多い一方で、高度人材や専門職の確保には競争が伴います。
  • 離職率が高いことも課題です。

ベトナムは労働人口の平均年齢が31歳と若く、活気ある労働市場を持つ一方で、高度人材や専門職を確保する難易度は高いのが現状です。特に、ITエンジニア、デジタルマーケティングの専門家、管理職といったポジションでは、急速に進むデジタル化や外資系企業の進出に伴い、需要が供給を上回る状況が続いています。このため、高度人材の獲得には競争が激しく、給与や福利厚生を含めた優れたオファーを提示する必要があります。

さらに、ベトナムの離職率の高さも課題です。特に若年層の従業員は、キャリアアップや給与条件の向上を求めて転職を繰り返す傾向があります。これにより、採用と育成に投資した人材が短期間で退職するリスクが高くなります。企業はこれを防ぐために、給与以外のメリット(キャリア開発プラン、職場環境の改善、柔軟な働き方の提供)を重視する必要があります。現地文化を理解し、従業員の長期的な満足とモチベーションを高めることが重要です。

外資規制

  • 一部業界では外資規制が残っており、進出の際に現地パートナーが必要な場合があります。

ベトナムでは外資誘致が積極的に進められていますが、一部の業界では依然として外資規制が存在し、進出の際に注意が必要です。特に教育、不動産、メディア、物流といった特定分野では、外資100%の出資が認められず、現地パートナーとの合弁会社設立が求められるケースがあります。このような規制は、国内産業を保護し、地元企業とのバランスを図る目的で実施されています。

現地パートナーを必要とする場合、その選定は慎重に行う必要があります。信頼できるパートナーを見つけるためには、相手企業の実績、ビジョン、法的な適合性を十分に確認することが重要です。また、外資規制は地域ごとや業界によって条件が異なるため、最新の法令や規制を把握し、それに応じた戦略を立てることが必要です。法的支援を提供する専門機関やコンサルタントを活用することで、進出準備をスムーズに進めることが可能になります。

ベトナムでのビジネスが上手くいかない日本企業の特徴

ベトナムに限らず海外でのビジネスに失敗してしまう会社は、「ローカライズ」や「変化」ができない、遅れてしまうことに原因があると言えます。ベトナムにおいて特に失敗の要因となりやすい特徴を詳しく解説します。。

現地企業の商習慣を受け入れられない

ベトナムのビジネス文化は、日本と大きく異なる部分があります。例えば、ベトナムでは 信頼関係 が非常に重視され、契約よりも人間関係が優先される場面が多々あります。しかし、日本企業がこれを理解せず、「契約書通りに進めるべき」といったスタンスに固執すると、相手からの信頼を損ない、取引が円滑に進まないことがあります。

  • 具体例: 初対面で詳細な契約内容を詰めようとすると、相手が警戒心を抱くことがある。
  • 改善策: 商談前後の informal な交流(食事や会話)を通じて、信頼関係を築く時間を設ける。

マネジメントするスタイルを変えられない

日本型の管理方法をそのままベトナムで適用すると、従業員の反発やモチベーションの低下を招くことがあります。ベトナムでは、個人の自主性を尊重しつつも、明確な指示やサポートを求める傾向が強いです。一方で、日本企業の「上司からの指示を待つ」「長時間労働が当たり前」といったスタイルは、ベトナムでは受け入れられにくい場合があります。

  • 具体例: 報告・連絡・相談の文化を徹底させようとしても、現地の従業員が形式的な対応に終始し、本質的な問題が解決しない。
  • 改善策: ベトナムの文化に合わせ、成果主義や柔軟な働き方を取り入れる。従業員とのオープンなコミュニケーションを重視する。

人事・給料制度を柔軟に調整できない

ベトナムでは、高度なスキルを持つ人材を確保するためには、 給与や福利厚生を競争力のある水準に設定することが不可欠 です。しかし、日本企業の中には、給与テーブルを本社基準で画一的に決めてしまい、競争に負けてしまう例があります。また、インセンティブ制度が不足していると、優秀な人材が外資系企業に流出する可能性も高まります。

  • 具体例: ベトナムの他企業が提供するインセンティブや昇給スピードに対抗できず、採用や定着率が低下。
  • 改善策: 現地の給与相場をリサーチし、定期的な昇給制度や目標達成に応じたインセンティブプランを導入する。

成功へのポイント

これらの課題を克服するためには、 「ローカライズ」「柔軟な適応」 が鍵となります。現地の商習慣や従業員の特性を理解し、それに合った方法を導入することで、現地スタッフやパートナーとの関係を深め、ビジネスの成功率を大幅に向上させることが可能です。たとえ困難に直面しても、「現地市場に学ぶ姿勢」を持ち、適応していくことで、ベトナム市場でのビジネスを軌道に乗せることができます。

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ベトナムへの進出を成功させるためには、現地の全体的な理解を深めるだけでなく、自社のターゲットになる見込客や業界への定期的な調査が必要です。いきなり法人を設立する場合は多くのリスクが存在するため、参入前にどれだけ事実ベースの情報を集めるかが成功の鍵です。

  • 現地市場調査とターゲット分析
  • デジタルマーケティング戦略の策定と運用

弊社では、デジタルマーケティングのプロの観点から現地向けのWebマーケティング、パートナーとのコネクションを活用した進出サポートをおこなえるのが強みです。ベトナムビジネス進出のパートナーとして貢献いたしますので、ぜひ一度ご相談ください!

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