これから海外のローカル企業を新規開拓したい企業にとってはターゲットリストの構築が必要になります。エンドユーザーやパートナー、ディストリビューターやディーラー開拓を行う中で、知人や行政機関の紹介以外の選択肢が分からず、次の一手が見つけられない方も多いのではないでしょうか?
本記事では、具体的にどんな手法があるのか、予算感によって、どんな手法でターゲットリストを集めるかを説明します。
◆目次
Toggle1. ターゲットリストとは?営業成功のための基礎知識
ターゲットリストとは、営業活動を行うための見込み客リストを指します。「見込み客リスト」や「アタックリスト」とも呼ばれ、見込み顧客となりうる企業や個人の情報をまとめたリストです。会社名や業種、地域、住所、電話番号、社長名など企業に関する情報が一覧になっており、リストに整理することで効率よく営業活動を進めることが可能です。
ターゲットリストの定義と役割
ターゲットリストとは、営業活動においてアプローチすべき見込み客の情報を整理したリストのことです。このリストには、主に次のような情報が含まれます。
– 会社名
– 業種
– 所在地
– 電話番号やメールアドレス
– 担当者の名前と役職
– 関心を持つ商品やサービスの情報
ターゲットリストを持つことで、営業活動を無駄なく効率的に進めることができ、最も成約の可能性が高い顧客に集中したアプローチが可能となります。
ターゲットリストが営業活動における重要性
テレマーケティングや飛び込みなどの新規開拓の営業経験をされている方にはお分かりかと思いますが、このターゲットリストをどうやって作るか?が新規開拓において重要になってきます。ターゲットリストを作成することで、営業チームは無駄なく効率的にアプローチを行うことができ、見込みの高い企業に対してより集中した戦略を展開することが可能です。
また、新規開拓だけでなく、顧客関係の維持や成約率の向上にもつながります。ターゲットリストがしっかり整備されている企業は、効率的に営業活動を進めるだけでなく、潜在顧客のニーズに応じた柔軟なアプローチが可能になります。営業活動の最初のステップとして、このリストをどのように作成するかが成功の鍵となります。
メリット1: 営業活動の効率化
見込み客を整理することで、どの顧客に対してどのタイミングでアプローチするべきかが明確になります。これにより、リソースの無駄遣いを防ぎ、ターゲットに集中した効率的な営業が可能です。
メリット2: 成約率の向上
ターゲットリストを元に、特定の業種や規模、ニーズを持つ企業に対して個別にアプローチすることで、成約率が飛躍的に向上します。適切にセグメントされたリストを使用することが、成功する営業活動のカギです。
メリット3: リストを元にしたカスタマイズアプローチが可能
顧客ごとに異なるニーズに応じた提案を行うことができるため、営業トークをよりパーソナライズし、見込み客との信頼関係を築くことが容易になります。
2. アウトバウンド型 vs インバウンド型のリスト構築手法:違いと活用シーン
ターゲットリストの構築方法は、大きく分けて「アウトバウンド型」と「インバウンド型」の2つに分類されます。それぞれの手法には特徴があり、企業のニーズや営業スタイルに応じて使い分けることが重要です。このセクションでは、両者の違いと、どのような場面で活用すべきかについて解説します。
アウトバウンド型リスト構築の特徴と活用方法
アウトバウンド型リスト構築は、企業側が積極的にリストを収集する方法です。営業活動の主導権が企業側にあり、見込み客との接点がない状態からスタートします。この手法には、以下の特徴があります。
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自社のリサーチによる情報収集
自社のリサーチチームが、業界データベースやインターネットの情報を活用してターゲット企業を選定し、リストを作成します。この方法は、ターゲットの選定を自由に行える点がメリットですが、時間と労力を要します。 -
積極的なアプローチが可能
リストが完成すれば、すぐにターゲットに対して電話やメールでのアプローチを行うことができます。特に、新規開拓を行う際には、このアウトバウンド型のアプローチが一般的です。 -
リストの精度が管理可能
自社でリストを管理するため、企業規模や業種、地域など、ターゲットを細かく絞り込むことができ、営業の精度が高まります。
ただし、この手法にはデメリットも存在します。例えば、リサーチにかかるコストや時間が大きく、効果が出るまでに時間がかかることがあります。また、見込み客との接点がない状態から始めるため、最初の接触で信頼を築くのが難しい点も考慮する必要があります。
アウトバウンド型リスト構築の構築例
アウトバウンド型リスト構築は、営業チームが自らリサーチを行い、見込み客リストを作成する方法です。この手法は、特に新規開拓を迅速に進めたい場合や、ターゲットとする市場が明確である場合に有効です。
- 自分でWebサイトなどから一つ一つ調べリスト化する
メリット: 自分でターゲット企業を絞って調べられるため、精度が高い情報を集められる
デメリット: 膨大な時間がかかる
- ポータル(マッチング)サイトから調べる
メリット: 一気にリスト作成ができ、それなりの精度が高い情報を集められる
デメリット: 入力作業が面倒、かつ元になるサイトが見つけにくい
- リスト(名簿)業者から購入する
メリット: 一気にリスト作成ができ時間がかからない
デメリット: 業者によって情報の鮮度が怪しく、費用がかかる(1件あたり1〜1000円ほど)
インバウンド型リスト構築の特徴と活用方法
インバウンド型リスト構築は、見込み客が自ら企業にアプローチしてくる状況でリストを作成する手法です。見込み客がすでに関心を示している状態からスタートするため、成約率が高く、営業活動がスムーズに進むことが特徴です。
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顧客からのアプローチに基づくリスト作成
展示会やイベントで名刺を交換した顧客や、Webサイトからの問い合わせを受けた顧客など、何らかの接点がある見込み客がリストに含まれます。これにより、営業担当者は比較的容易にアプローチを開始できます。 -
高い成約率が期待できる
見込み客はすでに企業に対して関心を持っているため、商談が成立する可能性が高いです。このため、営業活動における効率が良く、成果が出やすいのが大きな利点です。 -
リソースを活用したリスト作成
自社のWebサイトやSNS、広告キャンペーンを活用して、見込み客を引き寄せることができます。デジタルマーケティングの知識があれば、安定的にリストを増やしていくことが可能です。
一方で、インバウンド型には以下の課題があります。まず、見込み客が企業にアプローチするまでに時間がかかることが多い点です。また、継続的に新しいリードを獲得するためには、WebサイトやSNSなどのメディア運用にリソースを割く必要があり、それに伴うコストも考慮する必要があります。
インバウンド型リスト構築の構築例
インバウンド型のリスト収集は、見込み客が自ら企業にアプローチしてくる形でリストを作成する手法です。アウトバウンド型と比べて、見込み客が興味を持った段階でのアプローチになるため、成約率が高いのが特徴です。このセクションでは、インバウンド型のリスト収集手法の成功例と、それに伴う課題を解説します。
- 展示会に出展し、来場者の名刺をもらう
メリット: 自社のターゲットとなる特定の業界のリストが作りやすい
デメリット: 出展費用以外にも運営ノウハウや人件費などのコストがかかる
(平均1回の出展あたり5000USD以上)
- Webや紙面などのメディアに掲載し、その読者から問い合わせをもらう
メリット: 比較的にアポイントも取りやすく、手軽に実施できる
デメリット: 広告掲載費がかかる、かつそのメディアの集客力に依存する
- 自社のWebサイトを作成し、その訪問者から問い合わせをもらう
メリット: 軌道に乗れば安定的にリストを構築できる
デメリット: Webマーケティングの知識(SEOやデジタル広告)が必要
- 知人や行政機関などから紹介をしてもらう
メリット: 比較的にアポイントも取りやすく、成約に繋がりやすい
デメリット: 場合によっては紹介費用がかかる、リストの供給が安定しない(母数か少ない) - 外部交流会やイベントに参加し名刺交換を能動的に行う
メリット: 費用がほぼかからない(参加費用程度は必須)
デメリット: 時間がかかる、かつコミュニケーション能力が必要で属人化(飛び込みに近い)
- 広告媒体やメディアからの問い合わせ
メリット: 専門メディアを活用することで、精度の高いリストを集められる
デメリット: 広告掲載費のほか、メディアの読者層に依存するためリスト作成の効果はメディアの質に左右される用がかかることが多い
指定されたURLにアクセスできません。
アウトバウンド型とインバウンド型の使い分け
アウトバウンド型とインバウンド型は、それぞれにメリットとデメリットがあります。そこで、どちらの手法を選ぶべきかは、企業の状況や営業の目的によって異なります。
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短期間で新規開拓を行いたい場合
短期間でターゲット企業にアプローチし、新規顧客を獲得したい場合は、アウトバウンド型が適しています。特に、新市場への進出や積極的な営業活動を展開したい企業にとっては、この手法が効果的です。 -
リソースを効率的に活用したい場合
長期的に見込み客を育てながら、着実に顧客を増やしたい場合は、インバウンド型の手法が効果的です。自社のWebサイトやSNSを活用することで、コストを抑えながら継続的にリストを増やしていくことができます。
3. ターゲットリストを効果的に運用するためのツールと戦略
ターゲットリストを作成した後、それをどのように管理・活用するかが営業活動の成否を左右します。リストを効果的に運用するためには、適切なツールとプロセスが不可欠です。このセクションでは、リストを最大限に活用するための具体的なツールと運用戦略について解説します。
CRMツールの活用
CRM(顧客関係管理)ツールは、ターゲットリストの情報を一元管理し、営業活動を効率化するための強力なツールです。CRMを導入することで、営業活動の進捗をリアルタイムで確認でき、チーム全体の連携が強化されます。
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リードの追跡と進捗管理
CRMを活用することで、見込み客のステータス(リード、商談中、成約済みなど)を常に把握し、どの顧客に次のアクションを取るべきかが一目でわかります。これにより、見込み客との接触を適切なタイミングで行うことができ、営業効率が向上します。 -
営業チームの連携強化
複数の営業担当者が同じリストを共有し、誰がどの企業にアプローチしているのかをリアルタイムで確認できるため、重複アプローチや連絡の抜け漏れを防げます。これにより、顧客に対して一貫した対応が可能になります。 -
データ分析による営業改善
CRMは営業活動に関するデータを自動的に蓄積します。これにより、どのアプローチが最も効果的だったか、どのフェーズで商談が失敗したかなど、データに基づいた営業プロセスの改善が可能です。
代表的なCRMツール:
- Salesforce
- HubSpot
- Zoho CRM
メリット:
- 営業活動の一元管理が可能
- データに基づく分析と改善ができる
デメリット:
- 導入コストがかかる場合がある
- 使いこなすためのトレーニングが必要
スプレッドシートでのリスト管理
リソースが限られている企業の場合、GoogleスプレッドシートやExcelを使ったシンプルなリスト管理も効果的です。特に小規模な営業チームや、CRMツール導入前の段階では、手軽に始められる方法としておすすめです。
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リアルタイムでの共同編集
Googleスプレッドシートを使用すれば、複数の担当者が同時に編集でき、リストの最新情報をリアルタイムで共有できます。これにより、チーム内での情報共有がスムーズになります。 -
カスタムフィルターで効率化
スプレッドシート内で、業種や地域、進捗状況に応じてフィルタリングを行い、ターゲットリストを簡単にセグメント化できます。これにより、特定の条件に合うターゲットに集中してアプローチすることが可能です。
メリット:
- 無料で使える
- シンプルで即時に始められる
デメリット:
- 大規模なリストや複雑な営業プロセスには対応しにくい
- データ分析や自動化機能が限定的
4. インサイドセールスでリストを活用した新規開拓を加速する方法
インサイドセールスは、リモートでの営業活動を指し、ターゲットリストを最大限に活用して新規開拓を効率化する方法です。テレマーケティングやメール、オンラインミーティングなどを活用して、見込み客との関係を築きながらリードを育成し、成約に繋げます。ここでは、インサイドセールスの具体的な手法とそのメリット、導入のポイントについて解説します。
インサイドセールスとは?
インサイドセールスは、フィールドセールス(対面営業)とは異なり、電話やメール、ビデオ通話を通じてリモートで見込み客にアプローチする営業手法です。これにより、従来の対面営業よりもコストや時間を節約しつつ、広範囲にアプローチが可能になります。
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リードジェネレーションの効率化
インサイドセールスは、ターゲットリストをもとにテレマーケティングやメールマーケティングを実施することで、リードを効率よく獲得します。また、CRMツールやデジタルマーケティングツールを活用して、リードの進捗状況をリアルタイムで管理し、最適なタイミングでアプローチが可能です。 -
リード育成(ナーチャリング)
インサイドセールスは、見込み客のニーズや関心に合わせて、段階的に情報提供を行いながら関係を築きます。これにより、まだ商談に至らない見込み客をリードとして育成し、将来的な成約に繋げることができます。
メールマーケティングの活用
インサイドセールスで重要な役割を果たすのが、メールマーケティングです。ターゲットリストに基づいて、見込み客に対して定期的に情報提供を行い、関心を引き出します。効果的なメールマーケティングを行うためには、次のポイントを押さえる必要があります。
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パーソナライズされたメールの送信
リストに含まれる企業や担当者の関心やニーズに合わせて、個別にカスタマイズされたメールを送ることで、開封率や返信率が向上します。一般的な一斉配信メールよりも、ターゲットの心に響くメッセージを届けることができます。 -
リードスコアリングによるセグメント化
メールの開封状況やリンクのクリック数など、見込み客の行動データを元にリードをスコアリングし、関心の高い顧客に対して優先的にアプローチします。これにより、リードごとの対応を最適化し、成約に近い顧客を逃さずキャッチできます。
テレマーケティングによるアプローチ
テレマーケティングは、インサイドセールスの代表的な手法です。リストに基づいて電話でアプローチを行い、見込み客と直接コミュニケーションを取ることで、信頼関係を構築します。効果的なテレマーケティングのコツは次の通りです。
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準備とターゲットのリサーチ
事前にリストの企業や担当者の情報をしっかりリサーチしておくことが重要です。相手のニーズや課題を理解した上でのアプローチは、信頼を築く第一歩となります。 -
フォローアップのタイミングを見極める
電話での初回接触後、適切なタイミングでフォローアップを行うことが重要です。過度な連絡は逆効果になる可能性があるため、見込み客の反応を見ながら柔軟に対応することが求められます。
オンラインミーティングの活用
コロナ禍以降、対面での商談が難しい場合でも、オンラインミーティングを通じてリモートで商談を進めることが一般的になりました。ビデオ通話を活用すれば、リモート環境でも顔を合わせながら信頼関係を築きやすくなります。
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ビデオ通話ツールの利用
ZoomやMicrosoft Teams、Google Meetなど、ビデオ通話ツールを活用して、見込み客との商談をリモートで実施します。画面共有機能を使ってプレゼン資料や商品デモを見せることができるため、対面での商談と同じように効果的なプレゼンテーションが可能です。 -
リモートでのコミュニケーションを円滑にする工夫
オンラインミーティングでは、対面商談とは異なり、ネット環境やカメラ・音声の質などが関係します。見込み客とのスムーズなコミュニケーションを保つために、技術的な問題を事前に確認し、話しやすい雰囲気を作ることが大切です。
インサイドセールスのメリットと導入のポイント
インサイドセールスには、従来のフィールドセールス(対面営業)と比べて多くのメリットがあります。新規開拓やターゲットリストの活用において、インサイドセールスを導入することで、営業活動の効率を飛躍的に向上させることができます。
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コストの削減
インサイドセールスでは、対面での商談が不要なため、移動費や出張費を大幅に削減できます。これにより、限られた予算で多くのターゲットにアプローチできるようになります。 -
アプローチのスピードアップ
リモートでの営業活動は、電話やメール、オンラインミーティングを活用することで、物理的な移動を伴わないため、迅速に複数の見込み客にアプローチすることが可能です。 -
リードのナーチャリングが容易
定期的なメールやフォローアップを通じて、リードを育成し、成約に結びつけるまでのプロセスを効率的に管理できます。CRMツールやメールマーケティングツールを組み合わせて、自動化されたプロセスを構築すれば、さらに効率が向上します。
導入のポイント:
- 適切なツールの選定(CRMやメールマーケティングツール、ビデオ通話ツールなど)
- インサイドセールス担当者のトレーニング
- リードナーチャリング戦略の策定
5. ターゲットリスト構築と活用まとめ
ターゲットリストの構築とその効果的な活用は、新規開拓や営業活動を成功させるための重要な要素です。本記事を通じて、アウトバウンド型とインバウンド型の手法、具体的なリスト収集方法、そしてリストの管理と活用のためのツールと戦略について解説してきました。最後に重要な3点をまとめました。
ポイント1: ターゲット像を明確にする
ターゲティングの考え方の基礎としては、ABM(アカウントベースドマーケティング)やSTP分析を活用するのが良いです。ABMとは、自社のターゲットとしたい企業の「業界」「企業規模」や営業相手の「職種」「役職」などを元に顧客リストを面で攻略していく手法です。STPとは、セグメンテーション(市場細分化)、ターゲティング(狙う市場の決定)、ポジショニング(自社の立ち位置の明確化)の3つの英単語の頭文字をとって名付けられた分析の手法です。
ポイント2: リスト情報の管理を徹底する
エクセルやスプレッドシート、或いはCRMなどを用いて積極的にリストをデジタル化し、活動履歴を残しておくことをお勧めします。自社の誰がどの企業にいつどんなアプローチをしたのか?が分からずに営業活動を続けてしまったことで、ターゲットにアプローチしにくくなってしまい、せっかく集めたリストが無駄になるケースも多いです。
ポイント3: インサイドセールス活動を行う
インサイドセールスとは、デジタルを駆使して相手へ営業活動を実施することを指すのです。集めたリストへDMやメールマーケティングを行うだけでなく、テレマーケティングを行うことで営業効率を上げていくことが可能です。