海外展開やインバウンド対策の重要性が増す中で、多言語WEBサイトの需要は年々高まっています。しかし「どれくらいの費用がかかるのか分からない」「費用を決める要因は何なのか?」といった声も多く聞かれます。
本記事では、多言語WEBサイトの制作費用について、サイト種別ごとの相場と、費用に大きく影響する5つの要因を丁寧に解説します。制作を依頼する前に押さえておくべきポイントを網羅的にまとめていますので、ぜひ参考にしてください。
◆目次
Toggle多言語WEBサイトの制作費用相場
多言語に対応したWEBサイトの制作費は、「通常のサイト費用 × 言語数」+α (追加機能など) となるのが基本構造です。
通常のWEBサイト制作に比べて、言語切替機能の実装や制作工数増加に伴うコストが追加されるため、通常の日本語サイトより1.5倍〜3倍が目安といえます。
LP(制作ページ1P×2言語)の場合: ~100万以下程度
費用感は〜100万円以下程度となります。
LPとは、主に広告やキャンペーンに使用される1ページ構成のサイトです。
翻訳対象は少ないものの、各言語でコンバージョンの導線を考慮した設計が必要です。
見出しやボタンの表現が変わるだけでもデザイン調整が発生するため、シンプルに見えても作業負荷は意外と大きいケースがあります。
小規模企業サイト(制作ページ5-10P×2言語)の場合: ~200万以下程度
費用感〜200万円以下程度となります。
会社概要やサービス紹介、採用情報、問い合わせページなど、一般的な企業のWebサイトに該当します。
LPに比べると、翻訳ページ数が増えるため、テキスト量の確認や画像差し替え、各ページの言語整合性チェックも必要です。
構成の共通化が可能であれば、コストを一定程度抑えられます。
中規模企業サイト(制作ページ10-20P×2言語)の場合: ~300万以下程度
費用感〜300万円以下程度となります。
複数のサービスや製品を展開する企業向けで、事業や製品、サービスごとにコンテンツが分かれていたり、専門ページが複数存在するパターンです。
各ページで翻訳の粒度や専門用語の取り扱いが重要となり、コンテンツ翻訳の監修者を立てる必要も出てきます。
大規模企業サイト(制作ページ20P以上×2言語)の場合: ~500万以下程度
費用感〜500万円以下程度となります。
グローバル企業や多拠点展開している企業に多く、各拠点の紹介、部門別ページ、IR情報やCSR活動など幅広い情報発信を行う構成です。
サイトのボリュームがでることで、CMSやデザイン設計、SEO対応も高度化するため、翻訳・更新・テストを含めたチーム体制が必要になります。
ECサイト(商品数少×2言語)の場合: ~300万以下程度
費用感〜300万円以下程度となります。
商品数が100個前後の小〜中規模のオンラインショップ向けの場合の構成です。
商品数が少ない分、1商品あたりの情報密度が高くなる傾向があり、説明文やスペック情報の翻訳が重要です。
多言語カート・決済導入、通貨表記や配送オプションの調整も含まれます。
ECサイト(商品数多×2言語)の場合: ~800万以下程度
費用感〜800万円以下程度となります。
中〜大規模ECサイト向けで、カテゴリ設計、商品マスターの多言語対応、在庫管理や配送連携など、システムレベルの構築が必要になります。
また各商品ページのテンプレート化や一括管理が求められるため、CMSやERP連携などと合わせた設計になります。
メディアサイト(カテゴリ設計×2言語)の場合: ~300万以下程度
費用感〜300万円以下程度となります。
ニュースやブログ、コラムなどを複数のカテゴリに区分し、多言語で継続的に発信するメディア型サイトです。
多言語での記事管理やカテゴリ構成、タグ翻訳などCMS側の設計が複雑になりがちのため、その構成によって費用感が大きく変わります。
またターゲットとなる現地国の検索エンジンへの露出を意識したSEO設計も求められます。
多言語WEB制作費用の早見表
◇サイト種別 | ◇ページ数の目安 | ◇費用相場(2言語対応) | ◇備考 |
---|---|---|---|
LP | 1P | 〜100万円 | シンプルだがデザイン調整が必要 |
小規模企業サイト | 5〜10P | 〜200万円 | 構成共通化でコスト抑制可能 |
中規模企業サイト | 10〜20P | 〜300万円 | 翻訳監修や専門用語対応が必要 |
大規模企業サイト | 20P以上 | 〜500万円 | CMS設計やチーム体制が前提 |
ECサイト(商品数少) | 〜50商品 | 〜300万円 | 商品説明翻訳や通貨対応が必要 |
ECサイト(商品数多) | 50商品以上 | 〜800万円 | システム連携やマスター設計が必要 |
メディアサイト | 記事10本以上 | 〜300万円 | CMS設計やSEO視点が必要 |
制作費用を計算する際の注意点
最終的なコストは、サイトの仕様や機能、翻訳の質、SEO対策の有無などによって大きく変動します。
- サイトの機能性(CMS、検索機能、フォーム連携など)
- 翻訳の品質(機械翻訳/プロ翻訳/コピーライティング)
- 多言語SEO対策の有無(hreflang、構造化データなど)
自社の目的に合った仕様を選ぶことで、無駄なコストを支払ってしまうリスクを軽減できます。
多言語WEBサイトの費用に影響する5つの要因
サイトを多言語化するということは、海外向けマーケティングが目的であるケースが多いのではないでしょうか?
この場合、WEB制作の工程において、ある程度専門的な要素が追加されることで、コスト増加につながることがあります。
そのため、依頼者も以下のポイントは事前に把握しておくことが重要です。
◇抑えるべきポイント
- 実装方式(静的 or CMS or 自動翻訳)
- 言語間の構成統一度
- 翻訳の品質と対応体制
- 多言語SEOの対応レベル
- 運用保守の体制と効率性
本質的にコストへ影響するのはこの5点です。以下にて詳細を解説します。
1. 多言語対応の「方式」
「手動多言語構築」か「自動翻訳一元管理」かが最も大きな費用差の分岐点に。
- 手動構築(静的ページ複製)か、CMS+多言語管理か、自動翻訳か。
- 手動対応はページ数×言語数でコストが増加。
- CMS構築は初期費用は高いが運用効率が良い。
静的なHTMLを言語ごとに複製して管理する方式は、初期構築の自由度は高いものの、ページ数が増えるにつれて手間とコストが倍増します。
一方、WordPress+PolylangなどのCMS+多言語プラグインで構築する方式では、初期設計に一定の工数は必要ですが、長期運用においては更新性や拡張性に優れます。
また、Google翻訳のような機械翻訳ウィジェットを用いた擬似対応もありますが、翻訳品質やSEO効果が期待できないため、商用サイトには不向きです。
2. ページ構成の「言語間統一度」
「各言語ごとに自由な構成にしたい」と要望されると、コストは2〜3倍に跳ね上がることも。
- 各言語で構成を変えるとデザイン・開発・テストすべてが倍化。
- レイアウト・構成の共通化で費用圧縮が可能。
同一ページ構成で運用する場合と、言語ごとに構成や内容が異なる場合では、必要な制作工数が大きく異なります。
後者はそれぞれの言語で別個の設計・デザイン・開発が必要になるため、実質的に2サイトを同時に作るような工数が発生します。
3. 翻訳への「品質要求と対応体制」
翻訳品質は単なる費用差ではなく、「コンバージョン率」にも影響するコア要素。
- 機械翻訳、社内翻訳、プロ翻訳、ネイティブ監修付きなど。
- 費用だけでなく、ブランドイメージやCVRにも影響。
多言語サイトにおける翻訳の精度は、ユーザーの信頼獲得や商品・サービス理解の深度に直結します。
機械翻訳のみでは不自然な表現になりがちで、誤解を招く恐れもあります。プロの翻訳家による対応や、専門分野のネイティブ監修が入ることで、信頼性と成果が向上しますが、それに比例してコストも増加します。
4. 言語切替・SEO戦略の「深度」
SEOレベルを「グローバル対応でやるか否か」で、大きくコストに差が出ることも。
- hreflang設定、URL設計、メタ情報・構造化データの対応有無。
- 対応レベルにより、50万〜100万円の差が出ることも。
検索エンジンが正しく言語と地域を判別するためには、hreflangタグの実装やURL設計、メタ情報の翻訳が必要不可欠です。
これらの要素を適切に設計しないと、いくら翻訳しても現地ユーザーに届きません。
特にグローバルでのSEOを重視する場合は、内部設計の初期段階から戦略的に対応すべきポイントです。
5. 運用後の「更新・保守体制」
初期費用よりも「運用コスト」の最適化が長期的にはコストに直結。
- ページ修正・ニュース投稿・翻訳反映など、2言語分の体制が必要。
- 運用を内製化するか外注するかでランニング費用が変動。
サイトは公開して終わりではなく、定期的な更新や機能改善、セキュリティ対応が求められます。
特に海外や外国人向けの多言語WEBサイトであれば、表現やデザインを細かくチューニングすることが求められるケースが多いです。
そのため多言語サイトでは、すべての更新作業が2言語分必要となるため、運用リソースや体制をどう整備するかも含めて、初期段階での計画が重要になります。
【まとめ】多言語サイトの制作を依頼する前に「目的」を明確にしよう!
多言語対応を進める際に最も重要なのは、「なぜ多言語サイトが必要なのか」を明確にすることです。
目的が不明瞭なまま構築を進めると、不要なページや翻訳が発生したり、SEOや運用の面で非効率な設計になり、結果として費用対効果が悪化します。
たとえば、海外からの問い合わせを受けたい場合と、現地法人向けに採用情報を出したい場合とでは、必要なページ構成・翻訳粒度・導線設計はまったく異なります。
そのため、以下の3点は事前に整理しておきましょう。
- 何のために多言語対応するのか(例:越境EC/海外販路拡大/ブランド認知)
- どの言語に対応するのか(例:英語/タイ語/ベトナム語/中国語)
- どの程度の更新頻度や運用体制を想定しているか(初期構築のみか、長期運用か)
目的が明確であれば、制作パートナーも要件定義がしやすくなり、適正な見積もりと最適なサイト設計が可能になります。逆に目的があいまいなまま制作が始まると、追加コストや手戻りの原因になります。
多言語対応は単なる翻訳作業ではなく、「ビジネスの海外展開」に直結する戦略施策です。
弊社では、初期費用無料で海外向け多言語WEB制作を実施できるサービスを提供しております。海外マーケティングにご興味があれば、お気軽にご相談ください。